犬の噛み付き
このテーマでお悩みの方も多いかと思いますので・・・
ほんの一部分を取り上げることになってしまうかもしれませんが・・・
書いてみようと思います。
私をドッグトレーナーの道へと導いたこの方。
トイプードルのくぅちゃん。
ひどい噛みつきがありました。
噛みつきがあることが分かっていましたが、何とかしてあげたくて我が家に連れてきました。
このくぅちゃんは飼育放棄の子でした。
おそらく、噛み付きがあり・・・犬歯を抜かれ・・・それでも噛み付きは収まらず、飼育を放棄されたのだと思います。
くぅには、スペースに対する独占欲がありました。
自分のスペースの中にいるものはすべて自分のもので、そこに近づこうものなら、飛びかかってでも噛み付いてきました。
犬歯が抜かれていましたが、流血しました。
くぅが繰り広げた武勇伝は数知れず・・・
毎日の生活の中で子供たちが噛まれることが一番の心配事となりました。
それでも・・・
何とかしてあげたいと思いました。
人間は歯では犬と戦えません。
犬歯もありません。
ですから、犬が歯を使って来たら、必ず負けます。
負け試合を繰り返すと、どんどん犬は強くなります。
負け試合とは・・・
犬が「恐怖」を感じたら、「優位」を誇示したかったら・・・歯を使います。
人は怖いから、瞬時に手を引きます。体を引きます。後ろに下がります。
すると、犬にとっては好都合。嫌なもの、怖いことが自分から去ることになるからです。
もちろん次だって、この手を使おう!と思う訳ですね。
つまり、家庭犬の「噛み付き」は人によって結果的に強化されてしまった結果である場合が多いのです。(野犬の子が人間に捕獲される時などの噛み付きはまた別です。)
とはいえ、だれも噛み付きを強化したいと思って、育ててきている方はいないと思います。
犬によって神経質な子、怖がりな子、頑固な子など、気質もそれぞれです。
それによって噛み付きに発展しやすい子、そうでない子がいるのも事実です。
とはいえ・・・
別に戦う訳でもなく・・・
犬と試合をするわけでもないのですが・・・
犬が嫌なこと、怖いことから自分を守ろうとするときに・・・
歯を使わざるを得ない状況をどうやってなくしていってあげられるか。
犬の噛み付きにはいくつかの種類があります。
先ほど書いたスペースの主張だったり、フードに対する独占欲だったり、リードに対する興奮、おもちゃへの独占欲だったり・・・これまたその子、その子によって全く噛み付きのポイントも変わってくると思います。
自分の主張を通そうとして狙って噛んでくる噛み、これは本当にやっかいです。
そして、もう一ついろいろな場面におけるパニックによる噛み。
この2つは噛み方に違いがります。
狙って噛んでくる場合はがっつりと穴が開きます。
また、パニックによる噛みはかっかっかっと何度も歯を当ててくるので数か所の歯のあとが付きます。
犬の大きさ、あごの強さも個体差がありますので、その傷の具合は比べようもありませんが・・・
「うちの犬は噛みませんから」と言っても・・・
条件がそろえば、どんな子も噛む可能性はあります。
犬にとってそれは普通のことです。
人に例えてみます。
犬と人の立場を逆にしてみますね。
犬たちに囲まれてその中に自分一人がいると想像してみてください。
犬たちは隙あらば、襲ってきそうな雰囲気です。
そこに一頭犬が飛びかかってきました。
その時あなたは手に持っていた金属の棒を、壁に打ち付けたら「ガーン!!」というすごい音がして・・・
犬たちは驚き、逃げて行きました。
あなたは、この金属の棒が有効だと知り・・・
常にこの金属の棒を持ち歩くようになり・・・
いつ遭遇するか分からない犬に対して、周りにいないにも関わらず・・・
常に音を鳴らすようになるかもしれないですね。
犬にとっての「歯」はこの「金属の棒」と同じなんです。
有効であればあるほど、どんどん使う頻度が増えていきます。
そして、犬には第六感のようなものがあって、人が(怖い)と思った感情を見事に読み取っているように感じます。
その怖いオーラを感じ取ると、歯を使うことが促され・・・悪循環が生まれてしまうのです。
噛みつきのセッションは犬が噛む心理を読み取り、そこに働きかけていかなければならなければなりません。
やり方は様々です。
ただ、犬が噛んで人が下がって終わりにしてしまうと・・・
犬にとってはそのイメージしか残らないし、人は怖い気持ちが残ってしまいます。
必ず、いい状態、歯を使わないでやり過ごせた経験を「人」がマネージしていかなければいけないですね。
歯を使わずにやり過ごせた経験は家族の方との信頼関係をも深めます。
金属の棒を常に鳴らしているときの気持ちを想像してください。
最悪ですよね・・・。
犬も同じです。
パニックで噛み付いている犬に大きな声で何か語り掛けても・・・
むしろその大きな声は犬には届いておらず、その大きな声が逆に促進剤になりより興奮をあおることになります。
冒頭に挙げたくぅちゃん。
今でもほんの少し苦手な場面もありつつ・・・
里親さまのもとで穏やか~で、かわい~い子になっています。
これはじっくりと時間をかけて、里親さまが関わってくださったからです。
諦めず、しっかりと向き合う。
戦うのではなく、自信をもって向き合えるように・・・
しっかりと状況を査定して、リハビリ計画を立てていくことは必須になっていきます。
どうぞ、犬の専門家の力を借りてください。
いつ噛まれるのではという恐怖を抱えながら生活されている方・・・
犬と生活する楽しさ、豊かさを感じないまま生活されているご家族・・・
いらっしゃるかと思います。
まずは働きかけなければ、何も変わりません。
どうぞ、人も犬も穏やかに生活できますように・・・
カウンセリングのみでもお受けいたします。
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