犬に優しい方法で・・・
こんにちは。
Brückeドッグトレーナーの渡邊です。
毎日暑いですね。
この暑さのせいで、朝のお散歩時間はどんどん早くなり・・・
仕事のない日でも、朝4時半に起きては朝のお散歩に出ます。
それでも、家に帰ると汗びっしょり。きっと犬たちもかなり暑いと思います。
体調のケアにも注意してあげたいですね。
さて・・・
7月末に伺ったのセッションのお話です。
ファルくん推定5歳♂
実はファルくん。
我が家の元預かりっ子です。
ファル君がS家に巣立っていって、約1年の月日が経ちました。
Brückeの開業に合あわせて、お問い合わせいただき・・・
今回のセッションと相成りました。
ご相談内容は・・・
お散歩中に出会った犬と仲良くできない、という事でした。
お散歩中の犬との会わせ方ってとても難しいと思うのです。
お互いにリードをしていますし、自由に動けませんよね。
例えば、かかわってもらいたくない犬は(逃げたい)と思っても・・・
逃げられないし・・・
「どんな子か匂いをかぎたーーーい!!」と思っても、リードでつながれているから思うように近づけない・・・
いろんなフラストレーションが犬たちの中で沸き起こるわけです。
そこで、犬同士のお付き合いの苦手だと思っている飼い主さんのリードを握る手にも汗がにじみ・・・
そんな気持ちも犬には伝わるんですよね。
でも・・・
ファルは我が家にいたときは、我が家の犬たちとは揉めることはなかったのです。
特に遊んだりすることもなかったですが、みんなそれぞれ大人対応でした(笑)
お散歩中に出会う犬たちで・・・
きゃぴきゃぴ♪、人にも犬にも楽しそうに寄ってくる子はいます。
その姿は可愛いし、わが子も「あそぼー♪あそぼー♪」と言っているように見える子と一緒に遊べたらいいのに・・・と思う方も多いと思います。
でも、こうやってルンルン突っ走ってくる子が犬社会で礼儀正しい・・・訳では決してありません。
興奮高く、しっぽぶんぶん振って、近づいてくる子は犬が苦手な子には脅威でしかないし・・・
もちろん、吠えるでしょう。
これは「お願い、それ以上近づかないで!」と必死で訴えているんですね。
それでもなお、近づいたら・・・喧嘩になることもありますが、とても自然な流れですね。
必ずしも吠えてしまう、飛びかかってしまうわが子だけが悪いわけではありません。
また、一度飛びかかってしまったり、他の子を噛んでしまった経験をした飼い主さんは、犬が来ると緊張して・・・リードを握る手も力が入り・・・
つい、リードは引き気味になったりします。
こういった変化も犬には影響します。
「犬が来る」➡「リードが張る」➡「よからぬことが起きる」
と犬に想起させていることもあるんです。
お散歩は楽しく、リードを持つ飼い主さんも楽しく♪
私がいつも願うことです。
最初にお散歩のご様子を見させていただきました。
これは動画ではないので伝わりにくいのですが・・・
ファルはSさんから前には出ないです。でも、Sさんの左右から一生懸命前を見ようとしているのです。
つまり、「Sさんから前に出ない」ということは学習しているのですが、Sさんが邪魔で前が見えないという事が生じるわけなんです、ファルにとっては(笑)
この歩き方をまずはSさんと一緒に歩くことを楽しんで、Sさんを頼りに歩いてもらうようにしてもらいました。
飼い主さんと歩く楽しいお散歩♪
途中でお座りさせてみたり、追いかけっこしてみたり・・・
Sさんの表情もとてもやわらかくなりました。
リードを持つ人の気持ちって本当に犬に伝わります。
それは敏感な犬であればあるほどそうですね。
この後、お散歩に来られていたトイプードルの男の子に会ったファル。
「すみませーん♪今、犬と会う練習しているのですが、ちょっと周辺歩かせていただいていいですか~??」
と声を掛けさせていただいて、この時は私がリードを持って周辺を歩かせていただきました。
ファルのボディランゲージはとても落ち着いていて、攻撃性は全く感じられず・・・
本当にすぐそばにいることが出来ました。
私はリードを緩めていました。
Sさんも喜んでらっしゃいました♪
そして、もう一点。
ファルはSさんのお姉さんを噛んでしまったことがあるそうです。
「ファルが噛む???」
思わずビックリしてしまいました。
もちろん犬なので、状況が合えば歯を当てることはあります。
絶対に「噛まない」なんてことはどの犬にもないのですが・・・。
お話を聞いていくと・・・
Sさんとファルは「しつけ教室」に通われていたのです。
そこで最初に「アルファロール」をされたとのこと。
アルファロールとは・・・「アルファ」つまりオオカミのトップと下位のオオカミとの関係からこう呼ばれているようですが、「アルファオーバー」とも言われています。
これになぞらえて、犬を強制的ににひっくり返してあおむけにさせ、押さえつける。
最も弱い部分であるお腹、鼠径部を見せることで人が上だという事を植え付ける。
という概念の元されているようなのですが・・・
私はこの方法はとても犬に優しくないと思うのです。
怖がりな子だったら、どれほどの恐怖を感じるでしょう。
犬は恐怖を感じると「歯」が出やすくなります。
アルファロールをされていた時に接触していた人との「点」。
それが「手」であった場合、人の手に対して恐怖心を植え付けることになります。
こういった場合、「手」に対してまず記憶の「上書き」をするトレーニングから始めなくてはいけません。
「恐怖心」はとても広がりやすいのです。
例えば、アルファロールによって首を抑えられた。首を触られるのが怖くなった、首だけでなく、背中もダメになった、ついには手が目の前に来ただけで怖くて噛んでしまうようになった・・・
「恐怖心」植え付けるのは簡単で、広がりは早く、そしてなかなか取り去るのに時間がかかります。
これは心理学の学習理論の分野において、数々の実験によって明らかにされていることです。犬だけでなく、これは人にも言えることなのです。
色々なトレーニング方法があります。
みなさん、それぞれ色々な理論や経験の元に犬の幸せを願ってトレーニングをされているのだと思います。
でも、トレーニング内容は家族である飼い主さんが決めることです。
トレーニングにも「インフォームドコンセント」が大切になってくると思います。
きちんとトレーニングに入る前に、「トレーニング内容」、「なぜそのトレーニングをするのか」、「最終的に持っていくべき姿」・・・その他もろもろ、担当トレーナーにご確認いただいてから、トレーニングを始められることをお勧めいたします。
犬にとって公正で、犬にとって優しく、犬をリスペクトした方法で・・・
トレーニングが行われることを心から願います。
ちなみに、オオカミにもとても魅力を感じている私。
実際に近所の多摩動物園でしかオオカミを見たことはありませんが・・・
これまでに読んだ本によると・・・
自然界のオオカミの群れは権力闘争によるトップ争いというのはないそうです。
つまり、オオカミのアルファオスとアルファメスはトップダウンではなく・・・
ボトムアップによって決められるそうです。私たちが思い込んでいるアルファロールのような形で圧力をかけるようなことはないようなんですね。
下から慕われる存在で・・・自然に頂点に立つ・・・。
そんな自然界の動物たちに思いを寄せたセッションとなりました。
犬にとって優しいトレーニング方法は即効性がないときもあります。
時間もかかります。でも、そこには互いに信頼する絆が生まれます。
犬との関係で一番大切なことだと思います。
犬でお困りの方はBrückeまでお問い合わせください。
「今の姿」、「トレーニング内容」、「これから目指す姿」
きちんとご説明いたします。
どの子(犬)達も安全で安心で平和の中で過ごせますように・・・
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