「基礎トレーニング」と「おやつ」

このところのセッションはご近所さんではなく、初めて対面する犬たちばかりでした。

ネットの普及もあり、トレーニングを受けようと思ってくださるオーナーさまは・・・

皆さま色々と調べられたり、勉強されたりしている方がほとんどです。

色々なことをご存じで、ご自宅でまずは試されてくださるご家庭も多いです。

シット(お座り)やダウン(伏せ)も大抵・・・「できます!」っておっしゃる方が多です。

「じゃ、すみません、やってみてくださいますか?」ってお伝えすると・・・

・・・しない。

「おやつがないとしないんです。」

という方が多いのです。

すると・・・「わがままなんですよね。」とか「したいときにしかしないんです」とおっしゃる。

この場面だけを聞くと、犬は飼い主さんに従っていない・・・
飼い主さんのリーダーシップが足りない・・・
犬が飼い主さんをバカにしている・・・

などと思われる方もいらっしゃるようです。

でも、そうではないんですね。

私たち人間も、犬たちの行動はなんでも「学習」によって形成されていきます。

横断歩道の青信号が点滅したら、走る。

これは次に赤信号で渡れなくなると分かるからですよね、赤信号は渡っちゃいけないって知っているからです。


これも信号が道路を渡るうえでのルールになっていることを知り・・・青信号は渡っていいサインだと知り・・・点滅すると次には赤になって渡れなくなるということを知っているから・・・そこに合わせて行動を形成していくのですよね。


この信号が特に何のルールもなく置かれているものだったら・・・


例えば渋谷駅前の大きな交差点にある大きなテレビのように・・・見るか見ないかが個人の判断にゆだねられているものであれば・・・

興味のある人は見るだろうし・・・

興味のない人は見ないですよね。つまらないものだと思えば、見なくなるでしょう。


信号だって、赤色や青色が何のルールや意味も持たなければ、人は見なくなるし・・・

そのサインに従って行動することもないでしょう。


犬も同じです。

「おやつ」を使って人が犬に何かを教えるときは、タイミングが大きな意味を持ちます。

「おやつ」を出すタイミングを間違えば、行動が別のところで強化されます。

例えば、おやつを見せる➡座る➡おやつがもらえる。

ということを繰り返していたら、おやつを見せてもらった時にだけお座りをするものだと思う訳です。


そして、たいてい飼い主さんは「おすわり」などと声に出しながら座らせようとするのですね。

でも、おやつとセットになっていなければ「おすわり」という声掛けすら無意味なものになってしまうのです。


シットやダウンは犬が普段生活する中でよくする行動ですから、その行動自体を教えることはそれほど難しいことではありません。

でも、「どのタイミング」でその行動をするようになるかということは人の教え方によっていかようにも変えられるのです。

以前にも書きましたが、犬は言葉を持たない生き物です。

人の動きや、感情や、状況を瞬時に判断して教えてもいないのに、心を読まれているかのように行動できる犬たちも確かにいます。


でも、ほとんどの家庭犬の場合はそうでないと思っていただいた方が良いと思います。


先ほどあげた交通信号のように・・・犬にとっては何の意味もないハンドシグナルや言葉に・・・ルールや意味を付加するのは人です。

時には「おやつ」がそのルールを教える道具となり・・・

時には「一緒に遊んであげること」がただのコトバに意味をもたらす道具となり・・・

またある時には飼い主さんの「いい子だね~♪」という言葉と笑顔が犬にとって「ある行動」を引き出す最大のご褒美となることもあるでしょう。


これは個体差があります。


いずれにしても、犬の行動を増やす(強化)するには人間がそのルールを犬に丁寧に教えてあげる必要があるのです。

そして・・・根気強く、犬の行動を維持するために人も努力をしていかなければなりません。


一度学習され強化された(定着した)行動も・・・

簡単に取り去られてしまいます。


それは人も同じです。


信号が青なのに、車は止まらずにビュンビュン走ってくる。

これでは、信号が全く意味を持っていないですよね。するとどうでしょう・・・。

私たちはきっと、赤信号でも車が居なければ渡っていいやと思い・・・

最終的には、信号すら見なくなりますよね。


信号が意味を持つためには、歩行者用の信号が青の時には車が止まっている状態でなければならないのです。つまり、人にとって安全という意味を持っていなければならないのです。


犬の行動を強化するのも・・・


その行動をしたら「良いこと」があった、という経験を積み重ねる必要があります。


基礎トレーニングはこの理論で行動を積み重ね、強化をしていかなければいけません。


犬が理解しやすい形で、行動を増やしてあげる・・・


それは犬の安全につながりますし、人の言うことが分かる、自分(犬)がしたことが人に評価される、これは犬にとって人間に対する信頼度アップの大きなきっかけとなります。


犬が人を信頼すると・・・犬は人から何かを引き出して一緒に行動したいという「協調性」が育まれるのです。


この協調性は今も昔も「働く犬」たちの中に見ることができますね。


家庭犬であっても、信頼関係を築くことはとても大切なことですし・・・

一緒に何かをやり遂げるということは人と犬との間に太い絆をもたらします。


基礎トレーニングはその最初の扉です。

おやつや報酬性のあるものをタイミングよく、「道具」として使うことで・・・

犬とのコミュニケーションはより豊かなものになります。


あなたはご自分の愛犬と「意思疎通ができている」と感じていますか?


基礎トレーニングをしっかりとやってみたいと思われる方は是非


Brückeにご連絡下さい♪



Brücke(ブリュッケ)

~ブリュッケ~ 犬と人の心をつなぐお手伝いをします。 犬と人とに流れる関係性を正しい形に直すということを目指しています。 まずは犬を理解するところから始めてみませんか。 より良い犬との生活を築けますように・・・ お手伝いが出来たらと思っております。

0コメント

  • 1000 / 1000